東京銀器の歴史

優雅な光沢と落ち着いた深い趣で、多くの人を魅了し続けている銀器。ことに、ヨーロッパでは、古くから日常生活にとけ込み、食器として愛用されてきました。

日本で銀器が使われ始めたのは、古く奈良時代まで遡ることができます。また、飛鳥時代の668年、当時の近江国に建立された祟福寺の塔心礎から出土した舎利容器の中箱が銀で作られていたことからもルーツが伺えます。この中箱は、打ち延ばした銀の薄板を折り曲げて箱とし、継ぎ目や蝶番を銀ろうで溶接して作られています。

さらには、延喜式(916年)という律令の中に銀製の食器や酒器の名を見ることが出来ます。金の場合は、日本で比較的多く産出し、江戸末期まで重要な輸出品でしたが、銀は16世紀中ごろまで輸入されていました。

 天文2年(1533年)石見銀山で新しい銀製錬法が開発されて以来、戦国大名によって日本各地の銀山が掘られ、産出量が増大しました。それまで銀鉱石は、朝鮮へ輸出し、製錬した銀を輸入していましたが、銀製錬に成功してようやく銀の国産化が実現したのです。

長い間、特権階級の持ち物や神社仏閣の装飾金具などにしか使われなかった金銀製品が、江戸町人の経済力が高まり、町人文化が最盛期を迎える元禄時代に、広く一般的に普及し女性の髪飾りや男性の煙管などが作られるようになりました。徳川幕府は度々、奢侈(しゃし)禁止令を出してぜいたくを禁止しましたが、効果が無く、町人の間では広く金銀製品が使われていました。当時、幕府の御用金工師であった横谷宗珉が大名、武家相手の「家彫」から、町人相手の「町彫」を確立させると共に、彫金の技術技法を完成させ、刀剣装飾具が発達し、多くの彫金師が世に出ました。

 この頃の職人を描く「人倫訓蒙図彙」(じんりんきんもうずい)に彫金師の彫刻する器物の生地の作り手として、銀師(しろがねし)と呼ばれる銀器職人や、櫛、かんざし、神輿金具などを作る錺師(かざりし)が金工師として出現します。江戸でこれらの金工師が育った背景には、貨幣を作る金座、銀座の存在や多くの大名が集まる政治経済、文化の中心であったことが挙げられます。

明治9年、廃刀令が発せられ、装剣金工師はいっぺんに職を失いこれら金工師は花瓶や額類、装身具など新しい時代に合ったものを制作するようになりました。その後、富国強兵最優先の政策によって一時的に沈滞しますが、上流階級からは貴重品として歓迎され、高級品の分野での発展がみられました。

第2次世界大戦後、アメリカ駐留軍による大量の需要があり、銀器業界は最盛期を迎えました。

現在は経済産業大臣指定伝統的工芸品、東京の伝統工芸品、台東区の伝統工芸品として、時代にマッチした銀器を製作しています。

 

※(大都会に生まれた伝統工芸 いぶし銀の粋 東京銀器 旧東京美術銀器工業協同組合 発行物参照)

 

 

東京銀器の沿革                                                          

東京銀器の技法は、平田家を祖とするといわれており、初代平田禅之丞から九代平田宗道まで、その技法は継承されているが、特に五代目三之助、七代目重太郎は多くの門人送出し、東京金銀器工業協同組合の中にその弟子が多くおり、現在活躍している。

 

東京銀器の伝統的な技術又は技法

1 形成は、次のいずれかによること。

 ・鍛金にあっては、地金を金槌及び金具を用いて手作業により成形すること。

 ・「ヘラ絞り」にあっては、地金を木型に当て、木型を回転させてヘラ棒を用いて手作業により絞り込むこと。

2 部品の接合をする場合には、「銀鑞付け」、「錫付け」、「カシメ」又は「鋲止め」によること。

3 加飾をする場合には、次のいずれかによること。

 ・「模様打ち」にあっては、手作業により金槌または鏨を用いて行うこと。

 ・彫金にあっては、手作業によること。

 ・切嵌にあっては、図柄の「切落とし」及び「紋金造り」は、糸のこまたは切鏨を用いて手作業によること。また紋金は、銀鑞付けをすること。

 ・鍍金にあっては、彫谷への「沈金鍍金」とすること。

4 色仕上げをする場合には、「煮込み法」又は「金古美液」若しくは「タンパン古美液」を用いること。

5 「ヘラ絞り」により成形したものにあっては、加飾をすること。

 

伝統的に使用されてきた原材料

地金の素地は銀とし、銀の純度は、千分の九百二十五以上となります。

「東京銀器」という名称は、地域団体商標登録によってつけられ商標です。

公認組合として登記 昭和25年8月30日 旧組合名:東京美術工芸品工業協同組合

経済産業大臣指定  昭和54年1月12日

東京都知事指定    昭和57年12月24日

現組合名 東京金銀器工業協同組合

(設立50周年記念誌 東京金銀器工業協同組合発行物 参照) 

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